当店のあるオーストラリアはメルボルン。
コロナウイルスの第一波こそ、軽い都市封鎖で大きな被害を避けることができましたが、第二波の感染拡大は大きく、3ヶ月以上に渡って、罰則を伴う厳しい都市封鎖が行われました。
先日、シティに出る機会がありましたが、そこで目に付くのは、閉店してしまったお店、そしてまさに閉店しようとしているお店の数々。
少し歩いただけで、通りに面しているお店だけでも、「あのお店も、このお店も」、「え?あのお店も?」というくらい。
コロナウイルスによる被害の爪痕が、市内のあちらこちらに痕跡を残していました。
閉店しているお店の数々
おそらく一番影響が大きかったのは、必要な食品・医薬品・ペットショップなどを除いて、ほとんどすべてのお店が、強制的に閉店を余儀なくされたこと。
レストランやカフェは、持ち帰りのみという形で営業されていましたが、感染が拡大し始めた当初は、食品からも感染するという話があり、テイクアウトの需要というのも、本当に少なかったように感じます。
【閉店してしまったレストラン】
決定打は半径たった5キロの移動制限
さらに追い打ちをかけた決定打となったのは、半径5キロという移動制限。
あのお店にも行けない、このお店にも行けない、そして肝心なお店は閉まっているという。
仕事自体のリモート化、そしてこの移動制限で、大きな被害を被ったのが、メルボルンの中心地である、こちらでは「シティ」と呼ばれるビジネス街やショッピングエリアなど。
【市内の一番の大通りBourke Streetのお店もこのありさま】
それもそのはずで、地域のお店は、まだその辺りに住んでいる人たちの需要によって支えられているので、影響はあるにしても、需要は比較的近距離にあるといえます。
ところが、このシティと呼ばれる中心地の商売は、そもそもが、人が来ない事には成り立ちません。
確かに中心地ですので、住んでいる人が多いのはその通りですが、普段は、そのエリアの会社や事務所に通勤に来る人が何万・何十万人いるのか。
さらには、そのエリアに買い物に来る人も同様、それこそ数えきれない数で、それだけの需要があったはずです。
シティ近郊には、おびただしい数のお店がありますが、それはそういった需要があってこそ成り立つもの。
たかだか半径5キロという範囲内の需要では、お店を支えることなんて無理がありすぎます。
【Swanston Streetも同様】(すでに新しいお店になっているところが目立ちました)
出勤する必要がないという気付き
今回のコロナウイルスでは、大手はもちろん、できるところはコロナウイルスの第一波、今年の2月くらいからリモートでの仕事をするのが主流になっていました。
それが何か月も続くと、リモートのほうが通勤時間が要らない、時間がゆっくり取れると思われる方が多いのはもちろんですが、「会社・事務所に行く必要が無い、行かなくても仕事ができる」と、そんな大きな事態に気づいていくことになりました。
そうすると、今度は、今まで当たり前のようにあった、「シティの中、シティ近郊の事務所や営業所」を持つ必要がないことがわかっていきます。
まだコロナウイルスの規制が解除されたばかりですが、知り合いの会社勤めの方と話していると、こういった話題になることが非常に多いものです。
「仕事をする分には、リモートでも困らないんだよね」
「休憩中に同僚と話したりして、他の仕事の話を聞いたり、そういったのができないのは困るんだけど」
「シティへの通勤時間が無くなると、時間にゆとりがあっていいよ」
「満員電車にもバスにも乗らないでいいし、交通費も要らないし」
終始こんな感じで、リモートで仕事をしている方と話すと、「会社に行く必要がない」と感じている人がほとんど。
仕事をリモート化している会社が、以前の通勤という形態に戻すのは、来年の2月くらいからだそう。
果たして、シティの中に事務所は要るのか要らないのか、個人のデスクは必要なのか。
こういったことが真剣に話し合われるはず。
来年2021年は、仕事のリモート化の普及、会社の移転、デスクの共有化など、こういった流れが加速していきそうな予感です。
【廃墟と化したウォークアーケード】
こちらはコロナウイルスの影響での閉鎖ではなく、再開発のためですが、こういった時期にこんな状態だと、やはり物悲しく見えてしまいます。
このお店、実はちょっとした思い入れのあるお店。
ちょっと前までは、古い時計などを置いている、1坪ショップという感じの古時計店でした。
最近になって宝石店になって、本当にまだそれほど経っていないのですが、そのお店もこのコロナウイルスの影響で閉店してしまいました。