今日の写真は「これ何?」というような写真ですよね。
実はこの写真、「ライム」の木なんですよ。
枝はどこに行ったんだ?というお話ですが、実は訳あってすべての枝を落としています。
オーストラリアでは、オレンジやミカンの木に寄生する小さなハチがいるのですが、この木は全ての枝という枝に、そのハチが卵を産み付けてしまい、全ての枝を切り落とさなければならなくなってしまったのです。
具体的にどうなるのかというと、体長2.5ミリほどの小さなハチが、主幹ではなくて枝に卵を産み付けます。
卵は一か所に何個も産み付けられるので、その枝の中で成長していき、枝の卵を産み付けられた部分がボコッと膨らんでしまいます。
そしてそれを放置しておくと、そこからハチが孵化してしまい、枝の内側は穴だらけになってしまうという非常に始末の悪いものなのです。
しかも孵化したハチは、さらに近くの枝に卵を産み付け、同じことが繰り返されていくので、枝という枝がダメになってしまうというわけなのです。
このハチの始末の悪いところは、孵化する前に対処するのではすでに手遅れ、なんと卵を産み付けられた時点で手遅れになってしまうという点です。
卵が産みつけられてそれが少しでも成長すると、枝の中に洲が入ってしまったかのように小さな穴がたくさんできてしまって、その時点でその枝はもうダメだということになるのです。
家の庭にも、レモンやオレンジ・柚子やミカンなどを植えているのですが、被害に遭いにくいというミカンの木まで被害にあってしまっているような状況です。
なるべくこまめにチェックをして、枝を切り落としてはいるのですが、毎年この時期になると、この写真の木のように、本当に丸裸になってしまう木が出てきてしまいます。
先日、園芸店に行った時に話ですが、このハチをおびき寄せる罠のようなものがあるのですが、その値段が1000円ほど。
しかも完全にハチを防げるわけでもないし、使用期間はハエ取り紙のように、表面の粘着面がダメになったら終わりという短期間のもの。
店員さんとお客さんのやり取りを聞いていると、「こういったものを買うのなら、お店でレモンを買ったほうが安いですよね」だそうです。
それほど、ここメルボルンではこのハチの被害は大きなものになっています。
確実な方法があるわけではないというのが大きな問題、ただ被害に遭った枝を落としていくだけ。
何か良い方法が出てきてくれると良いのですが。
お時間のある方は、Citrus+Gall+Waspという言葉で検索をしてみてください。
もしくは上の名前をクリックしていただくと、画像検索の結果が表示されます。
Googleの画像検索などで見ると、見たことのないようなボコボコに膨れ上がった枝の写真がたくさん出てきます。
園芸や果樹栽培に興味がある方なら、見ていただいてもかなり面白いと思います。
もし日本でこのような木の症状にお心当たりがおありなら、このハチの被害がそちらにも広がってしまっているのかもしれません。
どの木にも起こるのではなくて、オレンジやレモンなど柑橘系の木にだけ起こります。