アンティーク時計店主のつぶやき

オーストラリアにある高級アンティーク時計専門店メルシーウォッチの店主が綴る、何気ない日常の生活や仕事にまつわるお話しです。

移民の受け入れに思うこと Part2

日本は本当にそろそろ移民を受け入れるのか、それとも受け入れずになんとかやっていくのかを決めないといけない時期ですよね。

どちらが良い・どちらが悪いというのは、それぞれに良い点・悪い点もあるのでしょうが、受け入れるなら早いほうがいいとは思います。

私の居るオーストラリアは、かなり多くの移民を受け入れている国ですが、数多くを受け入れているわりには、もうかなり長い間受け入れ続けているので、焦りが無いというのか、国がどっしりと腰を据えてやっているのがよくわかります。

そう思うのはなぜかというと、ある意味で「オーストラリアの欲しい人」、その条件に合った人を優遇して入れているからです。


移民をするといっても、パスポートを取って旅行をするような簡単なわけにはいきません。

それこそ年単位で、若い方なら早いうちから留学して単位や資格を取り申請するような、何年もかけて申請しなければいけないものなのです。

しかも申請するのはポイント制になっていて、何の資格があるから何ポイント、何歳までなら何ポイント、といったように、申請できるだけのポイントが無ければ申請できない・受理されないという形を取っています。

日本も将来的に移民を受け入れるのなら、オーストラリアの制度をぜひ学んでほしいところで、このポイント制というのが実はかなり国にとって有利に働くものだと思っています。


例えば、オーストラリアに大金を投資できる方なら、それだけでかなりのポイントがもらえたり、年齢が若ければそれでもポイントが高くなるといった具合に、オーストラリアに貢献できる・将来的に良い影響を与えると思われる人に対して、より多くのポイントが与えられるため、移民をある意味で選ぶことができているというわけです。

簡単に言ってしまえば、年齢がある程度になっていてお金も無ければ、まず移民はできないということになるのです。

さらに持っている資格によってもポイントがもらえるのですが、これもオーストラリア側が決めていることで、ある年・期間は何かの資格のポイントが高くなり、そしてまたある時は何かの資格のポイントが高くなるといった具合で、ここでもオーストラリアが欲しい資格・人材に重点を置いて受け入れるというコントロールができているといえるのです。

永住権を目指して留学して勉強する学生にとってはたまったものではないのですけれども。。。入学した時には卒業後に十分なポイントがあるはずであったものが、卒業時にはその資格で得られるポイントが下がってしまっていて、ポイント不足で申請ができないということもあるのです。


またこのポイントの中にはとてもユニークなポイントの与え方があるものもあって、都市部に住まず地方に住めばよりポイントがもらえるというもの。

ちょっと面白いと思いませんか? オーストラリアはシドニーメルボルンブリスベン・パース・アデレードなど、州都と呼ばれる近郊だけが特に発展していて、地方に行くと本当に何もありません。

なのでほとんどの人口が州都に集中していて、よほど田舎が好きな人でなければ、郊外にはあまり住みたいとは思わないものなのです。

当然やはりオーストラリアにも、都心に人口が密集する・郊外が過疎化するという問題もあって、それをカバーするのが、「ポイントが足りなければ郊外に住めばポイントが加算されますよ」というもの。

あともう少しポイントがあれば永住権が申請できるのに、というときに、郊外に住めばその足りない部分が補える可能性があるのです。

移民を受け入れることもできて、しかも郊外の過疎化も防げる。

郊外に住まなければいけない期間が決まっているので、あくまで一時的な過疎化対策であるのかもしれませんが、数年住む人が継続的に入ってくる可能性がある、そして住んだ人が気に入ってくれれば住んでくれるかもしれない。

これはとてもうまい、移民の受け入れ兼過疎化対策なのではないかなと思っています。



オーストラリアの移民政策・やり方は見習える部分がとても多いのではないかと思います。

今の日本の移民の受け入れ方を見ていると、医療関係の人たちなど、ただ単に技術者をまとめて連れてきて、適応できた人だけを入れていくといった形で、かなりそのやり方には無理な部分が見えるように思います。

もう少し長期的に見て、移住する人の便宜を図ってあげたり、移住したいと思う人を審査して受け入れる、日本が求めている形で受け入れるというようにしていく必要があるように思います。

移民を受け入れるとすれば、あまり時間的な余裕はないのかもしれませんが、ゆっくりと整備をしてから受け入れを始めないと移民政策自体がすぐに頓挫してしまいそうな感じがします。

急がなければいけない問題なのでしょうが、ゆっくり急ぐという感じで、とにかくしっかりと決めてから進めてほしいものですね。